今年ももうすぐ「読書週間」(10月27日~11月9日)がやってきます。小学校高学年や中学校1~2年の思春期直前の子・孫・姪甥へのプレゼントとして1冊の本を紹介させてください。
それは『ブラボー、ブッロ!ロバと少年の物語』ジョン・ファンテ ルドルフ・ボルヒェルト 著 栗原俊秀 訳
人として大切なことがたくさん詰まった1冊です。

【物語のあらすじ】
貧しい父子と農園主の父子、そして小さなロバと伝説の牡牛、それぞれが人生の縮図を宿し、緻密でていねいな展開が、圧倒的な感動へと導いてくれる物語。困難に立ち向かう勇気と不屈の精神、信念が生む信頼と友情。そして利己と利他の葛藤、挫折と再生。これから大人の扉を開こうとする少年少女に、きっと響くに違いないパワフルなヒューマン・ドラマです。物語の終盤、僕は涙があふれてしかたなかった。
【たとえば導入部分は】
第1章
メキシコが舞台の物語。少年はピューマと戦うブッロ(荷車を引く小さなロバ)に出会う。不屈の態度で猛獣に挑みかかり、傷を負いながらもついに撃退してしまう。少年はこのブッロに強く心惹かれる。
[少年少女読者へのメッセージ:困難に立ち向かう勇気]
第2章
傷を負ったブッロを手当てするため貧しい家に連れてくる。そこに仕事から戻ってきた飲んだくれの父。彼は若手の闘牛士から次のステップに進むことに失敗し、さらに愛する妻を亡くしたことで自暴自棄な生活に暮れている。少年はそんな父にもやさしく接する。
[少年少女読者へのメッセージ:人生には挫折があることの確認、荒んだ(ガチャ)家庭でも自分を見失わない態度]
第3章
少年はブッロにまたがり学校へ。級友たちに笑われる少年。教室で女先生に指され発表する場面で彼はブッロの戦いぶりを紹介し、人間でも獣でも勇気が大切であることを主張する。少年を見直す級友たち。
[少年少女読者へのメッセージ:人間の善性において信念を持つことで他者から得る尊敬(いじめへの態度)]
この後、酒代欲しさの父によってブッロが売り飛ばされ、それを少年は取り戻しに行く。一方、働く牧場で父が起こした失態で、雇い主が大事にしていた伝説の雄牛が逃げ出す。牧場の男たちは取り押えようと向かうがまるで手に負えない。それを知った少年とロバは…
【なぜおすすめしたいか】
確かな実績を持つ優れた翻訳家が自らの出版レーベルを立ち上げ、その最初の作品として自信をもって打ち出したのが本作です。まだほとんどの方が知りません。なぜなら流通管理の要となるISBNコードを取得していないため、ほとんどの書店に、大手通販サイトに、図書館に置かれていないからです。
この物語は未来を担う少年少女のきっとバイブルとなる条件を多く備えています。この本の存在を教えてくれたあなたは一生忘れないひととなるでしょう。そうした価値ある文学作品です。ぜひ、おすすめします。
【お求め方法】
『ブラボー、ブッロ!ロバと少年の物語』
ジョン・ファンテ ルドルフ・ボルヒェルト 著
栗原俊秀 訳
ビブリオテーカ・クリタリアーナ
B6判並製、124ページ
自主制作の私家版ゆえ一般書籍にあるISBNがありません。
よってほとんどの書店、図書館には置いてありません。
▼BOOTH
https://booth.pm/ja/items/7368689
1300円+消費税=1430円
▼書店ajiroオンラインストア
https://ajirobooks.stores.jp/items/68b3bfc7be11eccf9898a2d8
1430円+送料300円=1730円
【著者ジョン・ファンテとは/主にWikiより】
1909年4月8日生まれ– 1983年5月8日没
少年の頃から小説家になることが夢で、作品を出版社に送る。デビュー作は好評を博したもののその後著名な作家とはなれず、ハリウッドのシナリオライターとして生活することに。『ブラボー、ブッロ!』は1970年発表でファンテ61歳の作品。簡潔でありながら読者をひきつけて離さない緻密な構成はたぶんハリウッドでの経験が役立っている。
晩年、無頼の作家で日本でも一大ブームを巻き起こしたチャールズ・ブコウスキーが「図書館でつまらない本ばかりのなかただ1冊本物を見つけた」として紹介したのがファンテの本。それから彼の作品がつぎつぎと出版されることに。
ウィリアム・サローヤンというブロードウェイの劇作家・小説家とは親交が厚く、彼がピューリッツァ賞を受賞(辞退)した戯曲「君が人生の時」では主人公のモデルとなった。場末の酒場で遊びごごろにあふれた正義漢として一目置かれている存在が、ファンテの著作の主人公たちと共通するものがあり、人柄が伝わる。
【翻訳家栗原俊秀とは】

京大を卒業後、イタリアに留学し、その後日本で翻訳家となる。そしてアメリカで暮らすイタリア人二世であるファンテに注目。彼の主要な著書を翻訳。本作に至る前の6冊はいずれも未知谷より出版されている。なかでも作年11月に発行された『塵に訊け』は、従来日本では絶版の『塵に聴け!』(都甲幸治訳 DHC 2002年10月)が伝説の作品として人気を集めていたもの。ファンテを愛する栗原氏はその再訳に挑んだ。日本で翻訳家が直面する苦難に声を上げる一人。
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【Metakazuのポスト】
『ブラボー、ブッロ!ロバと少年の物語』のススメ
